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P新人賞最終選考会下見

寒い毎日が続きますが、だんだんと日没も遅くなってきました。春が近づいています。

さて昨日は、近づいてきたP新人賞2022最終選考会に向けて、愛知県から愛知人形劇センターの方が下見にいらっしゃいました。

新幹線が雪にたたられたそうで、大変な思いをして福岡県久留米市までいらっしゃいました。
下見にいらっしゃったN様、どうもありがとうございました。
最終選考会当日は、どうぞよろしくお願いいたします。

最終選考会で上演する「どんぐりと山猫というはなし」(全面改作版)は、旧作とは違った斬新な準新作といった趣の作品になりました。
社会の見えない競争原理を、より鋭く鮮明に描き出した作品として仕上がりつつあります。

「世界に一つだけの花」という歌が、かつて流行りました。
それは、競争原理を否定しているかに見えて、実はしっかり(ちゃっかり)競争原理の上に乗った歌でした。
だからか、なんとも言えない嫌なモヤモヤしたなにか、違和感が残ったものです。

(と、私は感じているのです。私の感じ方と違う感じ方をされる方々がいるのは当たり前です。それを前提とした上での私の感じ方の話です。)

その違和感の正体を掴まえたい、見えない競争原理に対して、自分(たち)なりの答えを出したい。
その想いにせかされて、あがいてきました。

「表現する」とは、モヤモヤして正体を掴みがたいものに向き合い、そこに言葉を与えていく行為、言葉を与えることで自分なりの「答え」の輪郭をくっきりと描く行為なのではないでしょうか?

とはいえ、5週間で取り組んできた作品です。
2021年の「どんぐりと山猫」以来、2年半の歳月をかけた試行錯誤の土台の上にあるとはいえ、全面改作版に取り組んで僅かに5週間。
ですからまだ粗っぽいのです。
しかし、観ていただける皆様に、確実に力づよい波動が届くものと思っています。

話は変わって、3月は例年「春の巡回公演」シーズンとなっています。
今年も「おやこ人形劇場」(石橋文化センター小ホール)を皮切りに、久留米市K小学校でのパペットシアターPROJECT、ワークショップ、巡回公演と続きます。

春の上演作品は、全て最終選考会で上演する「どんぐりと山猫というはなし」(全面改作版)です。
3月だけで、この全面改作版は3~4回の上演となりそうです。
この全面改作版が、どのように受け止められていくのでしょうか?
不安とともに期待に胸が膨らみます。

【釜】

応援しています!~子ども若者基金クラウドファンディング

以前、劇列車のブログでも取り上げました『子ども若者基金』のクラウドファンディングが、まもなく締め切りです。
過去のブログ記事はこちら。

子ども若者基金のおかげで、劇列車が取り組む観劇体験格差是正事業「パペットシアターPROJECT」をスタートさせることができました。
子ども若者基金は、一般財団法人ちくご川コミュニティ財団が運営しています。ちくご川コミュニティ財団は、地域密着型の“顔が見える”財団です。

私たちの「パペットシアターPROJECT」は、人形劇観劇体験や人形劇をやってみる体験の“体験格差”是正事業です。
“体験格差”という言葉、奇しくもコロナ禍になってようやく社会に認知されつつあるようです。

――他の人は体験したことがあることを、「自分だけ」体験したことがない。
幼児期のころから、繰り返し繰り返し格差を突き付けられることにより、大きな心理的ダメージになります。「なんで私だけ?」が次第に「どうせ私なんて…」と変化していき、自己肯定感の低さ、ひいては生きる意欲の低下にすら結びついてしまいます。

私たちは、「どんな子どもにも劇を!文化を!」をミッションに掲げるアート系NPOです。「どんな子どもにも」劇を届けたいのですが、このミッションを達成するには、大きな壁が立ちはだかっています。その壁の一つに、上演にかかる経費の受益者負担(=観劇料金)という壁があります。

観劇料金を負担できない家庭は、当然、劇場に来ません。ですから、経済格差は文化体験格差にもつながっています。
食事支援など対象者への直接的な支援ももちろん大切ですが、同時に、文化支援も大切なのです。

これがなかなか伝わらない。複数の助成団体で門前払いされました。

門前払いされた観劇体験格差是正事業「パペットシアターPROJECT」に、いち早く反応してくれたのがちくご川コミュニティ財団の『子ども若者基金』です。
ちくご川コミュニティ財団は、先述したように“地域密着型”です。
ですから、地域の住人たちが抱える課題を、一緒になって発見し、課題解決に向かって併走してくれる、稀有な存在なのです。

『子ども若者基金』は、個人や団体の寄付によって運営されています。「パペットシアターPROJECT」のように、認知されていないけれども確実に存在する社会課題にも敏感に反応してくれる基金の存続のために、みなさまのご協力をお願いいたします。

「子ども若者基金」クラウドファンディング詳細はこちらから。

【尚】

P新人賞最終選考会について

皆様、いかがお過ごしですか?
今日は、お知らせが後手になっていましたP新人賞最終選考会について、皆様に御紹介したいと思います。

P新人賞?
なにそれ?

そう思われる方も多いのではないでしょうか。
P新人賞のPとは、人形劇(パペット)のP、オブジェと身体によるパフォーマンスのPを意味します。

P新人賞は、2011年度に愛知人形劇センター様が主催して開始された
「人形劇ジャンルの明日を担う斬新な才能を発掘するため」の全国的なコンクールです。
要するに、人形劇を超えた人形劇表現を目指す表現者たちのコンクール。そう理解するのが、分かりやすいかもしれません。

今年度「P新人賞2022」では、一次選考を通過した私たち劇列車と、同じく神奈川県と愛知県からの出演者、併せて3団体(個人)が、新人賞獲得を目指して最終選考会にて上演します。
名古屋市ひまわりホールでの最終選考会です。
皆様、よかったらお越しください。

といっても、福岡から名古屋は遠い…。
名古屋市周辺にご友人やお知り合いがいらっしゃれば、よかったらお声かけいただければ助かります。

さて劇列車は、2月18日(土)19日(日)の最終選考会に向けて、いま「どんぐりと山猫というはなし」の全面改作にてんてこまい中です。
最終選考会は、劇列車に創造的刺激を与えてくれました。

じつは、このP新人賞第一次選考ではコテンパンに叩かれました。
しかし叩かれなければ、今回の「どんぐりと山猫というはなし」全面改作に取り組むことはなかったと思います。

叩かれるということは、悪いことではないのです。
むしろ望ましいことです。
表現者であれば、積極的に叩かれる場に身をさらすべきと断言出来ます。

それはどうして?

叩かれることで、表現が揉まれるからです。
そして揉まれる中でしか、表現は豊かに鋭くなっていかないからです。
叩かれることを怖れてはなりません。
これは古今東西にわたっていえる真理です。

私たちには、描き出したいものがあります。
それは社会の多くの人には見えにくい問題群。
だからこそ、「どんぐりと山猫」に取り組んで2年半、タイトルも「どんぐりと山猫というはなし」に変えながら、改作に継ぐ改作に取り組んできたのです。

揉まれることで、自らが描き出したいものがより鮮明にシャープになってくる。
そう実感しています。

(これは自画自賛?いやいや、そう思えて仕方がないのです)。

そして稽古では、ゾクッとするほどの創造的楽しさを感じるようになりました。
私たちは、そのような中から生まれ出た「どんぐりと山猫というはなし」全面改作版にて、P新人賞最終選考会に臨みます。

3月5日の石橋文化会館小ホールでのおやこ人形劇場では、このP新人賞最終選考会バージョンを上演致します。
皆様、御覧いただければ幸いです。

【釜】

演劇と教育研究委員会例会

九州福岡では、暖かい冬が続いています。皆様、いかがお過ごしですか?

さて、本日は「演劇と教育研究委員会」第4回例会のお知らせです。

「演劇と教育研究委員会」とは、劇列車が設置した演劇教育のゆたかな可能性を探りあう対話のひろばです。
毎回の例会では、資料をもとにした相互対話から学びあっています。
自分で言うのもなんですが、たいへん実りゆたか研究会です。

次の第4回例会は「竹島由美子教育実践を読みとき、いまに生かす」です。
2月23日(祝)13時半~16時半。石橋文化会館会議室Bで開催します(参加費600円)。

竹島由美子教育実践とは何でしょうか?
それは、福岡県筑後地方私立N高校における彼女の長年にわたる教育実践の呼称であります。
演劇部の活動と国語の授業を通じて、社会の周縁に置かれていた高校生たちが自らの言葉を獲得していきます。
そして、高校生たちが人間としての可能性を見事に開花させていった実践として、全国から注目を浴びました。

彼女の実践は「虹を追うものたち」「野球部員、演劇の舞台に立つ」「僕のリスタートの号砲が遠くの空で鳴った」と、三冊の本にまとめられていますので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

しかし「竹島さんだから出来た」「N高だから出来た」「感動的な実践だ」と言う声ばかりが聞こえてきます。
これらの賛辞が悪いわけではありませんが、竹島さんの実践を正当に評価したものとは言えない。どうしてもそう思ってしまうのです。

実践を正当に評価するとは、その実践の内側に隠されている「普遍性」を取りだして言語化し、自らの実践を検証する指針とすることに他なりません。
今回の例会では、その隠された「普遍性」を取りだし、言語化してみたいと思います。

また実践とは、教育実践に狭く限定されるものではありません。
私たちのパペットシアターPROJECTも実践でありますし、手打ち公演もワークショップ活動も巡回公演も実践です。
食料支援もそうですし、子どもの居場所づくりもそうです。

なぜなら実践とは、「自己(自分たち)と世界との関係を変える」ことなのですから。

ですから、地域で社会課題の解決に挑むあらゆる活動は実践だと言えます。
各方面の実践者の方々に、参加を呼びかけたいと思います。

例会にて竹島さんの実践から隠された「普遍性」を取り出すことができれば、あらゆる実践者の方々にとって示唆に富むものになる確信しています。
会場の都合上、定員18名です。
お早めにお申し込み下さい。
お申し込み先は、info@dramatrain.jpまで。

【釜】

2023年の謹賀新年

明けましておめでとうございます。
新年を迎え、皆様の御多幸をお祈り申し上げます。

劇列車は本日が稽古はじめ。
P新人賞最終選考会に向けてのハードスケジュール。
この時期は「どんぐりと山猫というはなし」再創造のために、ハードスケジュールでありながらも腰を落ち着けた稽古が続きます。

腰を落ち着けないと、知的な作業が出来ません。
稽古とは表現を共有していくことですが、そこには知的な試行錯誤の共有も含まれます。
稽古は台詞を覚えて動きを決めていくだけではないのです。
それでは、私たちの求める演劇(人形劇)表現は生まれないのです。
試行錯誤に苦しみ、試行錯誤を楽しむこと。
それが私たちの稽古観です。

さて、本日は御案内が中心のブログになります。

1月22日(日)、おやこ人形劇場「どんぐりと山猫というはなし」(3月5日石橋文化センター小ホール)のチケット販売開始予定です。

コアサポーター、フレンズサポーター会員の皆様には、近々御招待チケット御希望調査を実施します。
全面改作された「どんぐりと山猫というはなし」を、ぜひ御覧いただければと思います。
またおやこ人形劇場15時の回には「対話のひろば」を終演後に実施します。

劇を観るとは、楽しみの消費ではなく、楽しみから「新しい発見」を産み出す行為ではないでしょうか?
そのための仕掛けが対話のひろばです。
観客同士のおしゃべりの場、観客の皆様が対話を楽しむ場です。
サポーター会員の皆様、御参加を御検討いただければ幸いです。

次に、2月23日「演劇と教育研究委員会」第4回例会では、竹島由美子(野球部員、演劇の舞台に立つの著者)実践を語りあいます。
竹島実践は様々な場で語られてきました。
だがどうも表面的なものに止まっているようです。
竹島由美子さんの実践を「パウロ・フレイレの被抑圧者の教育学」の視点から読みといてみたい。
すると、「じつは語られなかった竹島実践の隠された貌」が見えてくるのでは…。
それを期待して、密かに楽しみにしている例会です。

第4回例会では参加される皆さんを大きく広げたい。ですから久留米で開催予定です。
詳細御案内は後日に。

それでは、2023年の劇列車は、どこまで走っていけるのでしょうか?
毎年のことですが、前途には様々な多難が待ち受けていることでしょう。

皆様、今年も劇列車をよろしくお願い申し上げます。

【釜】