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3年ぶりの子ども対象ワークショップ~こども文化がっこう

報告が遅くなりました。3/18(土)~3/19(日)の2日間は、小学校1~3年生を対象にした人形劇ワークショップ「こども文化がっこう」でした。
このワークショップは、コロナ禍の三密回避を受け実施見送りをしていたため、3年ぶりの開催でした。

参加してくれた子どもたち、送迎やお弁当の準備にご対応くださいました保護者の皆様、ありがとうございました。
三匹のこぶたを題材に、人形劇をつくってやってみようという活動が「こども文化がっこう」。グループ活動の機会が極端に減っている中で、「これでもか!」というほど、はつらつと活動してくれた子どもたち。
初めて会った子ども同士で人形劇を楽しんだ2日間が、みなさんの心の栄養になってくれていたらとても嬉しく思います。

明日は4月1日。学校教育活動において「マスク着用を求めない」ことにより、子どもたちの環境がじわじわと変わっていくだろうと予想されます。

2020年3月、全国一斉休校により子どもも大人も“自粛”しました。
学校から子どもの声が消え、公園には立ち入りを制限するロープが張られました。
そのとき、子どもたちはこれまでやってきた活動が制限されていることを、自覚していました。

言うまでもありませんが、子どもは感受性が強く、順応力も高い。
2020年4月時点で小学2年生の子は、三密回避前の学校生活を知っています。ですから、活動が制限されていることを“自覚している”のです。

――では、2023年4月時点で小学1年生になる子はどうなのでしょうか?
その子たちは、2020年3月には3歳でした。周囲の大人も子どももマスクをしている姿が当たり前で、“三密”になる集団活動をしないことが当たり前の幼児期を過ごしてきた子たちです。
この子たちにとっては、明日からの「マスク着用を求めない」生活のほうが馴染みがないのではないでしょうか。

2020年の劇列車ブログを読み返してみると、コロナ禍による体験機会喪失が子どもたちにどのような影を落とすのか懸念する文章が目立ちます。
3年ぶりに実施した人形劇のグループ活動「こども文化がっこう」。コロナ禍で失われた体験機会がどのような影を落としているのか、その見極めと回復に向けた検証はまだまだ始まったばかりです。

【尚】

春休みの巡回公演

3月27日、28日、29日と3日連続で、久留米市内3ヶ所の学童保育所巡回公演でした。
桜満開の中、毎日、久留米市内をあっちこっちへ。

作品は全て「どんぐりと山猫というはなし(全面改訂版)」です。

「どんぐりと山猫というはなし(全面改訂版)」
は、今回の3つの学童保育所公演を含め、3月に計5ヵ所で上演してきました。
そこで上演班は、大なり小なりどこでも、ある種の感動を味わってきたことを報告いたします。

さて、その感動とは何なのでしょうか。

それはまず、各上演の場で「観客の皆さんの心の動きが会場を埋めていっている」という事実から生まれた感動です。

観客の皆さんの目に見えない心の動き。
それが会場のあちこちで起きていました。

それが生まれた事実に対して、私たちに生まれた感動。
それが私たち上演班の感動の正体でしょうか。

ほんとうに不思議体験。
初めての経験。

この作品で描かれる酷薄な競争社会は、子どもの日常に埋め込まれた酷薄な現実を寓話化したものに過ぎません。
まぎれもなく、子どもはそんな現実の中を生きています。

ですから、子どもがこの作品に、何かを感じとることは、むしろあたりまえのことなのでしょう。

次に驚いたことを報告いたします。
それは、この作品で子どもたちはビックリするほどよく笑うということ。
これは予想外でした。

しかし、劇が進んでいくにしたがって、その笑いが、(言語化するならば)「もしかしたら酷薄で迫害的な笑いかもしれない」と、子どもが自然と自身で気がついていくようなのです。

テレビやユーチューブでは、酷薄迫害的な笑いが氾濫しています。
ですが、劇を観ていると、無意識的にもそのあたりのことに気づきはじめ、考えはじめている様子が見てとれました。
そしてだんだんと、いつの間にか、自身の生活の様々なエピソードを想起していくようなのです。

それは、もしかしたら、自分の生活に埋め込まれた「スクールカースト的な現実」なのかもしれません。

「おらはなんの役にたつだ?」

その台詞が発せられる時、どの会場でもシンとなります。

子どもの心の動きを描写するならば、劇を観ながら、そんな心の動きを示しているのでしょうか?

ここまで書きながら、上演の現場で起きていたことを報告するには、つくづく筆力不足であることを痛感しています。
書いても書いても、伝えることが難しい。
次で最後にしましょう。

私たちを呼んで下さいました各学童保育所支援員の先生方、そして上演会場によってはお手伝いをいただいたボランティアの皆様に感謝申し上げます。

そして、私たちの作品を観て、笑い、考え、何かを気づいてくれた子どたち、そんなことも楽しいと感じてくれた子どもたち、ありがとう。

【釜】

頓田の森ぴーすきゃんどるナイト

明日は頓田の森ぴーすきゃんどるナイト。
例年より1日早い開催です。

今年で16回目を迎えます。
ということは、初開催から16年目ということ。

1945年3月27日、大刀洗空爆に伴う頓田の森の悲劇の日。
その日に、森に集まって記憶を新たにしよう。
手弁当の市民の手による、ただそれだけの集い。
それが頓田の森ぴーすきゃんどるナイトです。

ですが、ますますその値打ちが高まっているように感じます。
振り返ると、2015年の安保法制強硬突破による集団的自衛権の限定的容認。
2022年以来のウクライナ戦争。
そして今年。敵基地先制攻撃のための大軍拡。

それらは、「国を守る」という大義名分で私たち国民を戦争に駆り立てようとする巨大な波。

2015年の安保法制の帰結は、こうなるのだな。
あの時強引な強硬突破までやって、こんな日本を作りたかったのだな。

あくまで私個人の感想に過ぎませんが、最近とみにザワザワとした胸騒ぎを感じます。
それは、戦争がすぐ傍に忍び寄ってきている不安。
ですからあえて、口をすべらせてみましょう。

数年後には台湾有事だって?
その時にそなえろだって?

そんなことになったら、沖縄や本土も戦場になるではありませんか。
滅茶苦茶になるではありませんか。

一体この国の為政者は何を考えている?
台湾有事に備えて大軍拡はすれども、話し合う外交努力はしない。
危険を煽り立てても、憲法の平和主義は省みない。
国民の命と幸せをいったい何だと思っているのか。

止まれ。
冷静になりましょう。

記憶が薄れれば戦争が近づく。
そんな思いで、悲劇の日に集う頓田の森ぴーすきゃんどるナイトを開催してきました。
でも16年前にはじめた時には、記憶と戦争の関係に気づいていても、まだまだ漠然としたものだったと思います。

記憶が薄れれば戦争が近づく。
それはほんとうだった…。

今後数年内に台湾有事が起きると言われ、その時に私たちの国が戦場になる可能性が高い。

私はもともと社会科を長年教えてきましたから、多少は社会科学的思考に手慣れています。
社会科学的思考で考えてみますと、こうなります。
台湾有事という名の、日米韓台と中国を巻き込んだ東アジアでの戦争危機が高まっていると。

残念なことに、様々なニュースを俯瞰し考察してみると、そんな恐ろしい結論に導かれてしまうのです。

一方で、未来は変えられます。
未来は可変性に富んでいます。

私たちが困難を抱えたこどものために働いてきたことは、こどもの未来がよりよくなることを望んでいるから。
一人のこどもの未来は変えられると思っているから。
これは、この国の未来という大きな未来であっても同じでしょう。

さあ、明日はいつもどおりの地道な集いを催しましょう。
そしていつにも増して、平和な未来のために祈りましょう。

【釜】

『演劇と教育』誌に

皆様にお知らせします。

弊団体の組織内研究委員会である「演劇と教育研究委員会」第三回例会報告が、「演劇と教育」誌(日本演劇教育連盟機関誌)2023年3+4月合併号に、2頁にわたって掲載されました。
例会の様子を写した写真付きです。

御関心のある方は、この機関誌をお取り寄せくだされば幸いです。
出版元である「晩成書房」に注文されるのが、最も手早いかと思われます。
この出版社名でネット検索されますと、「お問い合わせ」連絡先がわかります。
定価は990円で、お手頃な価格です。

さて、演劇と教育研究委員会は、2ヶ月に一回の頻度で開かれ、現在までで4回の例会が開かれています。
毎回、報告や論文を読んでのフリートーク(対話)で会を 進めていますが、これがなかなかに面白いのです。

会を進めるに従って、演劇の本質と教育の本質がくっきりと見えて来ます。
そして、両者相互の太いつながりも。
何かの結論を出すわけではないのですが、毎回、大切な気づきが生まれています。

私たちの作品上演後に併設している「対話のひろば」も、どこかで演劇と教育研究委員会での対話の蓄積が生きているような気がします。

弊団体の組織内委員会ですが、会員外にも開かれた研究会です。
子どもや青年のことを、報告や論文を元に大人同士が対話しあう研究会。
それはステキで魅力的な会なのです。

もしかしたら、演劇と教育研究委員会自体が、大人の「対話のひろば」なのかもしれません。
地域の中で、子どものことを愚痴りあうのではなく、知的に語り合う。
そんな人の輪を広げていきたいと思うのです。

【釜】

今年度最後のパペットシアターPROJECT

昨日は久留米市内K小学校ワールド学級にて、今年度最後のパペットシアターPROJECTでした。

「どんぐりと山猫というはなし」観劇と対話のひろば及び舞台裏見学まで。

対話のひろばで発言してくれた女の子。
「尖ったどんぐりは尖った頭で人の眼をつくことが出来るので、役に立つのではないですか?」と発言してくれました。

う~ん。
確かに何が役に立つかは、人それぞれで変わるもの。
鋭い指摘に一本とられました。

アンケートに、壁の画を紙いっぱいに描いてくれた男の子。
司会が発言を求めたところ、なかなかしゃべってくれません。
でも、後から人形を自分で動かしてみて大満足。
彼の表情が、みるみる輝いていきました。

子どもたちが帰った後、K小学校ワールド学級の先生4人の方々とちくご川コミュニティ財団様、芸術文化観光専門職大学の古賀様、そして私たち劇列車が、車座になって、大人同士の懇談会。
子どもへの文化支援の大切さを共有しあいました。
そこで出されたことに、こんなことがあります。

まず文化支援とは心への支援であることです。
文化体験格差は、その時その時では僅かな差に見えます。
だから放置しておいてもよいことのように思えます。
けれどもそれが長い年月を経た時に、取り返しのつかない大きな差となってしまう…。

つまり、文化体験でしか形成し得ない「大切な何か」があるのです。
それは想像力であり、共感力であり、自己の再発見であり。
つまり、見えない形のない大切な何かなのです。

「文化体験格差是正」をめざす文化支援に対しては、社会的共通理解がまだまだ低いという冷酷な現実が横たわっています。

あらためて声を大にして言いたいのです。
文化体験とは、遊びでも趣味でもなく、人が生きる上で必須のものだと。
文化体験とは、人間が有するかけがえのない人権だと思います。
(一見すると遊びの時間に見えますが、その本質は人権保障なのです)。

さて、パペットシアターPROJECTは、次のような協働で成り立っています。

文化支援をしたいというNPOがいる(つまり私たち)。
受け入れる人々がいる(K小学校の先生方)。
そこに財政支援をする人々がいる(ちくご川コミュニティ財団様)。

この三者協働があって、パペットシアターPROJECTは、はじめて成り立つのです。
これは、文化支援の鉄則であり、かつそれへの理解が乏しい社会にあっては稀なことかもしれません。

だからこそ、このような輪をもっともっと広げていく努力が必要なのでしょう。

最後にボランティアしていただいた方、日曜日なのに学校に出てこられた先生方、ちくご川コミュニティ財団から見学にこられた方、皆様、ありがとうございました。

そして、古賀様。
今ここで共有しておくべき大事なことを御指摘いただき、ありがとうございました。

【釜】

サポーター会員の皆様へ

舞台アート工房・劇列車、コアサポーター、フレンズサポーター会員の皆様へ。

3月いっぱいで2022年度会員資格が終了される皆様。
会員資格更新を御希望される方々から、会費振込みについて数件お問い合わせをいただいております。
この場を借りて、サポーター会員の皆様へ、会費納入についてお知らせいたします。

2023年度会員資格更新のお願いは、3月下旬に郵送いたします。
2023年度会費納入開始は4月1日からを予定しております。

(上記のお知らせは、3月に会員資格が切れる方々が対象です。
事務局から、会員資格更新のお願いが届かない会員の皆様は、今回の資格更新の対象ではありません)。

昨年より時期が遅めの会費納入期間設定です。
会費のあり方をめぐる臨時理事会の開催を4月2日に予定しておりますゆえ、その準備で皆様へのお知らせが遅れましたこと、御詫び申し上げます。

会費納入詳細は、別途お申し込み書類を郵送しますので、そちらをご覧ください。

皆様からいただく会費は、舞台アート工房・劇列車の事業を支える力強い力の一部になっています。
会費は、劇列車の各事業に使用されます。
また会費納入は、劇列車の事業実施を通じて、社会に役立つ力になります。

2022年度サポーター会員の皆様、「どんなこどもに劇を!文化を!」をミッションを掲げて、他にあまり例を見ない文化運動を展開する舞台アート工房・劇列車に、新年度(2023年度)も、引き続き御支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

【釜】

満席でおやこ人形劇場終了

菜の花が満開。春到来です。

昨日は「おやこ人形劇場」(石橋文化センター小ホール)でした。

コロナ感染対策のため入場定員規制を継続しておりますので、2ステージ満席110名の皆様に御覧いただきました。
私たちの「どんぐりと山猫というはなし」を観ていただき、ありがとうございました。

また対話のひろばから舞台裏見学に参加された皆様、ありがとうございました。
劇は「観て終わり」ではなく、「観て・話し・聞き・触れてみる」ことで、一層濃密な楽しい時間となる。
そうではないでしょうか?
そのような主旨から劇列車は、「対話のひろば」を試行錯誤しながら開催してきています。
参加された皆様、御満足いただけましたでしょうか?

最後にボランティアをしていただいた皆さん、ありがとうございました。
上演は、「表方」領域(当日は受付から会場整理まで)がキチンと回ることで成り立ちます。
皆さんのお力をお借りして、「おやこ人形劇場」が成功に終わりました。御礼申し上げます。

さて、次は3月12日(日)パペットシアターPROJECT~久留米市立K小学校編です。
第三者評価者として、芸術文化観光専門職大学から古賀教授をお招きします。
今回は、ちくご川コミュニティ財団様「子ども若者応援助成」を受けての今年度最後のパペットシアターPROJECT事業です。

ここに参加される子どもと親子の皆さんが、「どんぐりと山猫というはなし」をどうみてくれるのでしょうか?
私たちも頑張ります。
そして、とても楽しみにしています。

【釜】

疾風怒濤の3月

3月になりました。
P新人賞2022受賞から10日余り。
3月の疾風怒濤の日々に向けて、あたふた多忙な毎日が続いています。

何が疾風怒濤かって?
なんといっても、3月は巡回公演ラッシュの月なのです。

パペットシアターPROJECTと自主公演「おやこ人形劇場」まで含めて、全部で5公演。
全て今回新人賞を受賞した作品「どんぐりと山猫というはなし」で臨みます。

次に「こども文化がっこう」。
子どもゆめ基金助成によるこどもを対象としたワークショップ。
定員12名で、石橋文化センター共同ホール研修室にて開催します。
(現在参加募集定員に達しており、申し込みを打ち切っております)。

最後に頓田の森びーすきゃんどるナイト。
地道でささやかな平和の集いですが、市民の力で持続出来ています。
今年で、もう16回目を迎えます。

さてP新人賞最終選考会では、はるばる名古屋まで出かけていき、様々な刺激を受けて豊かに学びました。
そこでは、たくさんのことを吸収させていただきました。
それは、きっと私たちの表現をもっと成長させる糧になると確信しています。

一方で私たちの活動基盤は、私たちの生活世界の中にあります。
生活世界とは、暮らしの地理的(空間的)世界であるとともに、私たちの精神が形づくられて来た精神世界でもあります。
眼に見える具体的な世界であると同時に、眼に見えない抽象的な世界でもあるのです。

生きがたさを抱えこんだそんな生活世界から、私たちの創造が生まれています。
私たちの文化運動が生まれています。

生活世界から生まれ、その生活世界の生きがたさを変えていく創造と運動。
ここに私たちのオリジナリティーがあるのでしょう。
それをあらためて再発見した名古屋P新人賞最終選考会でした。

さて、3月に目白押しの様々な企画(7企画)を丁寧にこなしていくのは大変ですが、とても楽しみなことです。

最後になりますが、2月23日演劇と教育研究委員会に参加された16名の皆様、御参加ありがとうございました。
時間不足で、筑後地域N高校における竹島実践を鮮やかに分析するまでには至りませんでした。

しかし、皆様方の発言の数々から、また新たな発見と気づきがあった豊かな学びの研究会でした。
次回は、4月に第5回例会を開催します。
御期待下さい。

【釜】