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演劇と教育研究委員会例会開催

一昨日は演劇と教育研究委員会6月例会(第6回例会)でした。

6月例会のゲストは、久留米の学童保育所支援員の先生方お二人。
貴重な実践の報告をいただきました。
お二人の先生方には、ボリュームのあるお話をしていただき、ありがとうございました。
あらためて感謝申し上げます。

学童保育は、放課後の子どもの居場所として大切な場所です。
それなのに、その実際についてはあまり知られていません。
子どもの実態をお伺いすることも出来て、学びがいのある例会でした。

お一人の方が言われました。
「困難を抱えていることに気がつかない困難」があると。

その通りですね。

抱えている困難が日常化してしまうと、困難に直面していることすら気づかない(気づけない)ものです。

ハッとさせられました。

私たちがバペットシアターで出会う子どもたちも同じような様子を見せています。
困難の性質は様々でも、同じような共通性が見られるようです。
深い学びが出来ました。

社会的弱者が切り捨てられていく現代日本社会は、ほんとうに底が抜けてしまっているようです。
底が抜けた中で幾多の困難が生まれ、多くの人々が生きがたさを抱えて生きています。
そこに思いを馳せた時、この社会の酷薄さが見えてくるのでしょうか?

さて、皆様にお知らせいたします。
次回演劇と教育研究委員会は、8月20日(日)バペットシアタPROJECT報告会で代替いたします。
もう少ししましたら、概要を紹介いたします。
皆様の御参加をお待ちしております。

【釜】

稽古再開

上演班からのお知らせです。

新作「さちの物語」稽古を再開しました。
再び読み稽古から…。

読み稽古とは、登場人物の一つひとつの台詞のサブテキスト相互チェックと、その相互共有の時間であります。
また読み稽古は、台本の精査の時間でもあり、台詞の書き直し作業のための時間でもあり、演技者が役として舞台に立つための土台づくり(どんな人物として舞台に立つのか、どんな人間関係を表現していくのか)の時間でもあるのです。
ここに十分過ぎる時間をあてても、惜しくはありません。
読み稽古は、劇創造の最初の山場なのです。

さて、この作品の主人公は、虐待サバイバーである中学3年生の田中さち。
その深く傷ついた心が回復していくまでの物語。
そこにドラマの核心があります。
このドラマをどうしても描きたい。
これを描かなければ、私たちの創造は前に進めない。
上演班一同、そんな不退転の覚悟を秘めて、この作品に臨んでいます。

これは大袈裟な表現をしている訳ではありませんよ。

本作品はわずか2名の上演班で上演されます。
社会と自己との接点から生まれてくる緊張を、そのまま舞台表現に転化していく。
そのために、上演班2名が不退転の覚悟で臨む。
これは私たち上演班メンバーの気負いではなく、その伸びやかな表現を創造するための肝だと思っています。

台本は、良い台本に仕上がったと思います。
ですが、それを役者として演じていくのは、また違った次元に突入することであります。

作品の主人公、田中さちの心を浮き彫りにしていく長い旅が、準備過程から稽古過程に入りました。

長い長い旅。

この作品は12月17日(日)、名古屋ひまわりホールでの「P新人賞受賞記念公演」として、初演することになります。
「さちの物語」製作の長い旅のゴールは、とりあえずそこです。

その時。

この作品はどんな作品となって、その全貌を現すのでしょう?
上演班は、虐待サバイバーの心の回復を描き切ることが出来るのか?
それとも跳ね返されるのか?

楽しみでありプレッシャーであり、ドキドキしています。

追伸。
夏の巡回公演のための「一郎くんのリスタート」(どんぐりと山猫というはなし名古屋上演版から改名)も、明日から稽古再開です。
たくさんの未知のこどもたち、未知の大人たちとの出会いを楽しみにしています。

【釜】

奥が深い、ボランティア研修会

昨日は2023年度ボランティア研修会。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。そして、お疲れ様でした。

ボランティア研修会では、劇列車というNPOのこと、NPO劇列車という運動体が大切にしているミッションなどの大きなことから、各事業ごとのねらいや心がまえといった具体論までを主として話しました。

このボランティア研修会…――本当にオモシロい!
みなさまのご発言のおかげで、とても充実した研修会になりました。ありがとうございました。

劇列車のボランティアは、事業実施にあたり不足しているマンパワーを補うため依頼しています。そのため、お手伝い内容も補助的なものをお願いすることになります。
そういった側面から考えると、事業内容に責任を負う運営主体とボランティア、事業対象者となる当事者は、下図のような関係になると思われます。

〔図1〕
図1

事業実施は、運営主体が責任を持ち、当事者にはたらきかけて効果をねらうので、運営主体を手伝うボランティアは当然このような関係性になるでしょう。

これまで、私たちは、ボランティアに入っていただく方との打ち合わせは各事業ごとに直前の具体的な打ち合わせしか行っておりませんでした。
しかし、各事業ごとの打ち合わせでは不十分だと感じ、昨年2022年度から年1回の全体研修会を開催するようにしました。全体研修会は、今年で2回目です。

およそ1時間30分の研修会。ボランティアからの発言、運営主体からの発言が、交錯します。発言のひとつひとつは、ボランティアに入るにあたっての具体的な質問内容でありその回答であり、斬新な発言ではないはずなのですが、お互いの発言が積み重なるにつれて、「事業を実施するということは、図1で示した関係性以上のものがあるのではないか…」そう思えてきたのです。

当事者、ボランティア、運営主体それぞれが独立し、互いに強い引力で引き合いながら、互いが集っている空間に言葉にならない素敵な化学反応が起きていく…
そんな感覚が芽生えたのです。

〔図2〕
図2

いやはや、なんとも抽象的な物言いで申し訳ないです。
具体的にいうと、ベテランボランティアT様の「ボランティア活動に参加して得たもの」のお話をご本人の口からお伺いしながら、事務局を運営している私自身、ハッとさせられたのです。
月並みな言葉になってしまいますが、「『あなたの幸せが私の幸せ』って、きっとこういうことなんだろうなぁ」と“からだで分かる”ことができたように思います。

もちろん、NPO運営主体として“第一の顧客”である当事者に責任ある事業を実施するためには図1の関係性が必要です。
一方で、ボランティアのみなさんに入っていただくことで、事業実施の中で行われている精神行為については、図2のようにお互いが対等に相互作用し、とても豊かなものが生まれているような気がしてなりません。

誤解を恐れないでいうならば、運営主体もボランティアも当事者も、事業に関わったすべての人間にとって学びのひとときになるといえるのではないでしょうか。

なんだか大言壮語になってしまいました。
ボランティアのみなさま、とても頼りにしております。今年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。
ブログをお読みのみなさま、ボランティアは随時募集中です。ご関心のあるかた、どうぞ遠慮なくお問い合わせください。

【尚】

さちの物語、脚本仕上がり大詰め

新作「さちの物語~貧乏神と福の神とさちの物語」の脚本書き直しが、いよいよ大詰めとなってきました。

昨年9月に脚本を仕上げていた新作の稽古ですが、4月中旬に稽古がストップしてしまいました。
理由は、主として脚本の甘さにあります。

何を書きたいのか?
格差と貧困の告発か?
それとも、それを題材にしながら別の何かなのか?
そんな脚本の詰めが甘いまま稽古に突入していたため、稽古が進むに従って頓挫してしまうのも、当たり前と言えば当たり前のことですね。

それから一ヶ月半。

ミーティングをしては脚本書き直しの作業が続きました。
書き手としては、私たちが置かれている一切の制約を無視して書き進めました。
(もちろん、今回の上演班2名という制約だけは守りましたが)。

それ以上の制約を考えていては、脚本の自己規制となってしまい、ロクな脚本に仕上がらないという判断の共有の下、思いきって書き進めてきたわけです。

そうして。

出来上がりつつあるのは、傷みを背負った人間の回復とは?ということに、光をあてた(焦点を絞った)作品です。
傷みは言葉にならないものです。
哀しみ、憤激、怒り。
そのような感情に言葉を的確にあてはめることは難しい。

そして言葉を持った時、言葉を発することの出来る場を得た時、人は傷みから回復していく…。

脚本のネタは以前と同じ。
しかし、全く違った脚本になりました。

回復とは?
それはどういうこと?

延々と続いたミーティングを経て、言葉に強さのある脚本に仕上がりそうです。

表現とは、自己の内側にあるものと、自己を取り巻く世界との接点に生まれるものです。
それは書くいう表現でも同じことです。
自己と世界の接点に生まれた緊張こそが、ドラマの核であり、いのちなのだと思います。

詩的な表現となってしまいましたが、創造のこんなことを書こうとすると、このような方向での文章でしか表せないことが多くあります。
どうか御容赦を。

「さちの物語~貧乏神と福の神とさちの物語」は、12月に名古屋ひまわりホールで初演予定です。
久留米では、3月に石橋文化会館小ホールにてお披露目となる予定です。

【釜】