9月になりました。少しずつ朝晩が涼しくなってきています。
今日は新作「さちの物語~貧乏神とさちの物語」の進行状況の報告です。
繰り返しになりますが、初演は12月17(日)名古屋ひまわりホールです。
P新人賞2022受賞記念公演となります。
これはなかなかのプレッシャーですが、それもいい作品を生み出すための試練と思い、日々頑張っていますよ。
現在は、立ち稽古第1クールが佳境です。
来週中には、第1クールを終えて、第2クールに入れそうです。
第1クールを終えた各プロットがそれぞれに魅力を放っています。
いや、この段階で魅力を放たないプロットがあれば、ブラッシュアップのやりようがないのですから、これは当たり前。
長い脚本の練り直し期間をかけた脚本です。
脚本初稿完成から、読み稽古や半立ち稽古を断続的に挟みながらの書き直し(練り直し)期間は、約1年間。
その甲斐あってか、ドラマ自体が強靭なものになっています。
かつ魅力的なものに。
この作品のいくつかの特徴をあげてみます。
■主人公の中学3年生「さち」の心が、さちの小学校4年生時のさち(人形)との対話で表現されています。
舞台空間を緊張させる対話(さちの自己内対話部)が生まれています。
■ドラマの展開では、民話「貧乏神と福の神」のラストシーンの3回にわたる反復が行われます。そして同じラストシーンが、少しずつ変化していきます。
それは、さちの心の変化でもあるのです。
人形劇表現独自の面白さが、だんだんと生まれています。
■そのドラマを支える小道具が、退部届とノート、そして仮面。この三つが、ドラマを効果的に支えそうです。
最も仮面のデザインは試行錯誤中ですが…。
大切な試行錯誤です。
さて、本作品製作にあたり、いろんな方々と対話する機会を得てきました。
そこで見えて来たことは…。
この作品はDV被害者「さち」の被害そのものを描いているのではないということです。
DV被害者「さち」の生きがたさと回復を描いた物語なのです。
そうやって、静かにDV被害の深刻さを淡々と描き出しています。
もちろん、DV被害の影響は長く長く続きます。
しかし、主人公さちは、確かに、長く続いていくであろう回復のきっかけを掴むのです。
そんなドラマであることが、はっきりと見えてきています。
決して声高にDV被害を告発する作品ではありません。
さちの生きがたさ(人間関係づくりの困難さ)から、DV被害の深刻さが見えてくる作品です。
劇列車作品の中では久しぶりに、俳優劇に最接近した作品でもあります。
皆様、どうか御覧ください。久留米での初演は、来年3月。石橋文化センター小ホールです。
【釜】
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