本日はお知らせです。
2023年、3月5日(日)おやこ人形劇場(石橋文化センター小ホール)は、演目「どんぐりと山猫というはなし」で開催決定しました。
以上、お知らせいたします。
多忙に紛れ、開催告知が遅れましたことを御詫び申し上げます。
さて、10月に一度お知らせしましたように、本来ならば「さちのまだ見ぬ物語」でお届けするところでした。
急遽P新人賞最終選考会出演が決まりましたので、現在「どんぐりと山猫というはなし」を全面改訂しております。
ですから、おやこ人形劇場はこの作品での上演となります。
「もう見たよ」という方もいらっしゃると思います。
ですが、「社会の見えない問題」を一層シャープに描いているつもりです。ストーリーも一新されております。
御期待いただければと思います。
「社会の見えない問題」とは何か?
ここでいうそれは、「一層過酷に進行しながらも見えなくされている競争原理」のことです。
「いっそう過酷に」と述べるのは、この競争原理が、人間の人格全般を市場価値で計り競争させようする競争原理であるからです。
人格全てが競争にさらされるなら、競争からの精神的解放区は存在することが出来ません。
出来るのは、自分を市場価値なきものと否定してくる競争原理を、逆に否定しぬくことのみ。
相手が自分の全てを計ってくるわけですから、計られる側は、その全てを否定しぬくこと。
この表現、難しく感じられる方もいらっしゃると思います。
少し補足します。
私たちは、10月パペットシアターPROJECTで、この競争原理の犠牲になった子どもたちと出会いました。
私も長年学校の教師をしていましたから、不登校の子どもが学校からいなくなるのを何度もみてきました。
そんな子どもたちがフリースクールに行ったと聞けば、「よかったね」と胸を撫で下ろしてきたものです。
10月にパペットシアターで出会った子どもたちの姿は、学校からいなくなった後の子どもの姿でした。
そこには学校の教師たちが滅多に目にしにくい、子どたちの姿がありました。
とても驚き、何だか嬉しくなりました。
パペットシアターでは、前述競争原理が、感受性も知性も豊かな子どもをどのように押し潰してきたかを、つぶさに感じとることが出来ました。
フリースクールは学校でない分、子どもの心につけられた心の傷がよく見えたのでした。
これが驚きだったのです。
けれども、いつまでも子どもはショボくれてはいません。どっこい子どもは生きています。
月日を経るに従って、生命力に溢れた存在になっていきます。
「競争原理なんかくそくらえ!」
自己に内面化された競争原理をそれぞれのやり方で突破したときに、子どもたちは、逞しくもふてぶてしく開き直り始めるのです。
「ボクはボクなりに、アタシはアタシなりに生きていく」と。
そんな逞しい子どもたちの姿も見せてもらいました。
これが嬉しさでした。
それでよいのだと思います。
過酷に働く競争原理にのれる子はいい。のれない子は競争原理なんか蹴飛ばせばいい。
こう述べると、「どんぐりと山猫というはなし」が何を描きたいのか、少しは分かっていただけますでしょうか?
隠された競争原理によって傷つけられた心の回復を描きたいのです。
この改訂版は、10月のフリースクールの子どもたちとの出会いから生まれたと言って過言ではありません。
とはいえ、それを人形と人間の表現で作品に仕立て直していくことは…。
大変な作業であることは間違いありません。
どうぞ御期待いただければ幸いです。
具体的御案内は後日におこないます。
【釜】
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