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日本ウニマ総会(in香川)に参加

2022.05.24 (火)

短い春が過ぎて、あっという間に夏がやってきました。久留米では連日真夏日を記録しています。

さて、先週末20~22日にかけて、日本ウニマの総会が香川県で開催されました。
日本ウニマは、人形劇芸術の発展に貢献する世界中の人々を結びつける非正規組織 (NGO)である『国際人形劇連盟(ウニマ)』の日本センターです。(ウニマのホームページは下記)
https://unima-japan.wixsite.com/website

私たち劇列車は、21日(土)と22日(日)に参加。たくさんの学びを得た2日間でした。
コロナ禍に見舞われ、3年ぶりに対面での総会が実施できたとのこと、実施に至るまでのご苦労をお察し申し上げるとともに、運営を担われた皆様のご尽力に感謝申し上げます。

総会で特に興味深く拝聴させていただいたのは、21日(土)に開催されたトークセッション「地域と人形劇」。
香川県東かがわ市の『とらまるパペットランド』、長野県飯田市の『いいだ人形劇フェスタ』、兵庫県神戸市の『神戸文化ホール』の事例から、地域の中で活用される人形劇の社会的価値について話され、とても興味深く拝聴させていただきました。

『人形劇』というキーワードは、『子どもにふさわしい文化』という概念として、すでに当たり前のように社会に認知されています。
それを核として、“わが子”から“地域の子どもたちへ”そして“広く子どもたちへ”という大人同士のつながりが生まれていく。

そのようなお話を伺いながら、『人形劇で“ひとづくり”』という言葉の意味を改めてかみしめ、自分たちの活動を見つめなおし、さらに深める機会となりました。

2年前の春、パンデミックによって国内外が大混乱していたころ、ほぼすべての人々が外出制限を余儀なくされていました。
同時期、アメリカの世論調査会社が調査のために電話を掛けると、いつもは断られる若年層・中年層の方々から『電話してくれてありがとう』と深い感謝をされ、1件1件の電話時間が長くなる現象が起きたそうです。
このことからも、誰もが、人とつながりたい欲求を当たり前にもっていることがうかがえます。

あれから2年が経過し、コロナへの対応・対策、人との身体的距離感など、ずいぶんと慣れてきました。
この“慣れ”とは恐ろしいものです。孤立していることにも気づかずに“慣れ”てしまうのですから。

日本ウニマ総会で感じたこと、学んだことを糧に、この地域での改題解決により一層励みたい気持ちがあふれています。
まずは、今週末に私たち劇列車の総会が開催されます。参加の皆様と共に、有意義な議論を交わしたいと思っております。
ご参加のみなさま、どうぞよろしくお願い申し上げます。

【尚】






対話のひろばを!

2022.05.09 (月)

ゴールデンウィークも終わりました。野アザミが真っ盛り。初夏が訪れたようです。

5月3日は憲法記念日。今年はロシアウクライナ戦争の影響から、改憲論や勇ましい発言のオンパレード。
ニュースも、まるで大本営発表とみまちがうような一方的なものが多い…。
なんだかヘン!
内心、違和感とザワザワするような不安が高まるばかりです。

さて、2023年3月初演予定の新作人形演劇「貧乏神と福の神~二つの物語とまだ見ぬ物語」の脚本第一次稿があがりました。

ここから大幅な書き直しがないといいけどなぁ…。

この新作脚本は、「思考する人形劇」(観客の皆さんとともに考える)の第二段になります。
「思考する人形劇」と言ってもなんのことだかわかないと思われますが…。
「楽しみ」であるとともに、「娯楽以上のナニモノか」である表現。
そう考えていただければ幸いです。

私たちは、いまを必死に生きている人々と共に歩みたいと思ってきましたし、そのための実践にも踏み出してきました。
そんな試行錯誤から生まれたテーゼ(創造方針)が、「思考する人形劇」というものなのです。

7月17日日曜日には、「思考する人形劇」第一段である作品「どんぐりと山猫というはなし」を演目にして、夏の「おやこ人形劇場」という手打ち公演を開催します。
(久留米の石橋文化会館小ホールにて)。

これは久留米エリアでの本作品手打ち公演としては、なんと!3回目になります。
狭い久留米エリアで、同じ作品を3回目の手打ち公演にかける???

無謀ですよね。

この「どんぐりと山猫というはなし」は、コロナ禍の中でも、手打ち公演にて約350名の市民やおやこの方々に見ていただいてきた作品です。
ですから3回目の上演となると、やはり集客に不安を感じます。

ですが、あえて3回目の上演に臨むのはなぜなのか?

それは私たちが、終演後に観客の皆さんの「対話のひろば」を創りたいと思ったからです。

「どんぐりと山猫というはなし」は、見終わると観客の方々(大人も子どもも)が、アレコレ話しをたくなる作品のようなのです。
私たちは、春の巡回公演を含んで6回連続公演を今年3月に経験しました。
そこで得た感触なのですが、観客の方々がほんとうによく話しかけて来られるのです。

私たちと知り合いという訳ではありませんよ。

見ていただいた見知らぬ大人や子どもたちが、ほんとうにいろいろと話しかけて来られるのです。

私たちが優れた作品を創ったからそうなのだ。なんていう自信過剰なことを言いたい訳ではありません。
しかし、確かに観客の皆さんの心の深いところに届き、なにがしかの思考を生み出す力を持っているようなのです。
そう言えるのです。
これは、自信過剰とは別の次元のはなしです。

とするならば、終演後に「対話のひろば」を設定する必要があるのではないか。

そんな考えが、私たちの中に芽生えてきたのです。
だから、同じ「どんぐりと山猫というはなし」で、3回目の手打ち公演を試みてみようということになったのです。

繰り返して言いますが、これはやはり、無謀かもしれない…。
しかし、この試みはなんとしても成功させたい。

さて「対話のひろば」を成立させるために、コーディネーターとして竹島由美子さん(「野球部員演劇の舞台に立つ」著者)を迎えます。
彼女との企画コンセプト打ち合わせも終了しました。

いよいよ具体的に企画が詰まってきています。
チラシ作成にかかる段階にきました。
もうすぐ皆様にも御案内できそうです。

【釜】






理事会・総会議案書郵送

2022.05.01 (日)

艶やかな新緑が見られる季節になりました。
もう5月です。

4月はプロゲの更新が少なかったのですが、活動が停滞していた訳ではありませんよ。

とにかくミーティングの連続。ひたすら連続。
椅子に座ってばっかりでした。
おかげで事業報告と事業計画、決算と予算の案も出来上がりました。
本日コアサポーター会員の皆さんに、郵送いたしました。
皆さんからの御意見をお寄せいただければ、こんなに嬉しいことはありません。

また、コアサポーター会員の皆さんには、5月29日の理事会と総会での審議をお願いすることになります。
どうかよろしくお願いいたします。

さて。
私たちは、2年の理事会と総会にて、はじめて「人形劇の民衆性」について指摘をしました。

その後、2年の創造面での試行錯誤を経て、今、暫定的に「民衆人形劇の創造」とは「思考する人形劇の創造である」という創造方針(テーゼ)を確立するに至りました。

このテーゼについても、事業報告等にて可能な限り詳述をしています。

もちろん人形劇の魅力は、「モノが動く魅力」にあります。
人形劇を観た経験のある人も、そうでない人も選ばず、誰もが思わず観入ってしまう。
つまり観る人を選らばない。
それを私たちは、過去2年「人形劇の民衆性」と言ってきたわけです。

それを踏まえつつ、観客の皆さんの思考をどう誘発していくか?
人形劇には、思考を誘発する力があるのではないか?
私たちの実践を踏まえて今年度は、そんなことを創造方針(テーゼ)として提起しているつもりです。

以上のようなことは、事業報告等で詳述しています。
詳しくは、事業報告と事業計画をお読みいただければ…と思います。

これは会員外の皆さんには公開されませんが、ご要望があれば、お分けします。

それから、ブログをお読みの皆さんにお尋ねです。
どなたか「フィリピン教育演劇協会」について、私たちに御教示いただける方は、いらっしゃいませんか?
私たちも独自に調べています。
インターネット上で断片的情報をとらえることは出来るのですが…。
(「フィリピン教育演劇協会」の実践を見学した日本人の方々のブログ等で)。
言語の壁もあり、それ以上のことが、どうにもわからない。

とても興味があるのです。
劇列車の今後にたいへんな示唆をもらえるような…。
もし御教示いただける方がいらっしゃいましたら、たいへん助かります。

最後に。
次回ブログは、動き始めている今年度の事業について、ご紹介します。

【釜】






子どもの体験喪失について思う

2022.04.23 (土)

新しい年度がはじまり、劇列車も今年度事業および新作について思考し、話し合う日々が続いています。
2022年度事業を確定させるために、当然、昨年度までに実施してきた事業をふりかえることになります。

2020年、社会がコロナ禍に見舞われてから、一つひとつが手探りでした。
公演準備の方法、上演者と観客との関係性、ワークショップにおけるプログラムのあり方…など、感染拡大予防対策をとりながら実施するにはどうすればいいか、何度も検証し試行錯誤してきました。

私たちも、社会も、常時マスク着用やフィジカルディスタンスの確保など、この2年間でコロナウイルスとの付き合い方にだいぶ慣れてきたように思います。

その一方で、ふと思うのです。
付き合い方に“慣れ”ることで、“喪失”したものがあるのではないのか、と。

虐待を受け続けた被虐待者は、感情を失っていきます。
感情を表出しないことが自分を守ることにつながる、ということを学習していくのです。
それは自己防衛のためであり、生きていくために必要に迫られて無自覚に行われる学びなのです。
感情の喪失だけでなく、思考することも放棄していきます。思考しても答えがでず、思考すればするほど自身が辛くなっていくからです。
感情を失い思考放棄に陥っている被虐待者は、たとえ自身の置かれている環境が劇的に改善され、良い環境のなかに何十年と身を置いたとしても、“自然と”回復することはありません。

この2年間、フィジカルディスタンスを保つため、グループでの活動は敬遠されてきました。それはもちろん、やむを得ないことです。
感染拡大予防対策をとりながら、どう仲間と活動をする喜びを体験できるか、それぞれの現場で試行錯誤が行われてきたことと思います。私たちの事業も、同じように試行錯誤してきました。

2年前の子どもたちは、落ち着きがなく、内側に溜まった負のエネルギーを発散させようともがいていました。
1年前の子どもたちも、同じような様子がみられました。

直近で出会う子どもたちは、ずいぶんと状況に慣れ、受け入れ、従順に、当たり前のように過ごしています。
表情筋がほとんど動かないマスク越しの顔を見合わせながら、マスク越しにとても小さな声でしゃべりながら、日常を過ごしているようなのです。

この2年間で、子どもたちは感情を表出できる機会がどれほどあったでしょうか。
人との関わりをつうじて、苦悩し思考し喜びを感じあえる機会がどれほどあったでしょうか。

子どもたちが体験喪失によって得られなかったものは、『コロナが落ち着いたら』自然と回復するのでしょうか。

たった2年。何が失われたのか、あるいは、失われていないのか。

昨年度の事業をふりかえり、新しい年度の事業を計画するにあたって、思考することは山積みです。

【尚】






春の巡回公演を終えて

2022.04.10 (日)

4月になりました。キンポウゲにレンゲ、アザミも盛りを迎えようとしています。

さて、4月4日に春の巡回公演の最終回を終えました。
ほっと一安心。
現在は、1年間の事業を振り返りながら、今後1年の事業計画づくりに勤しんでおります。

さて、2月から3月の春の巡回公演は6ヵ所が予定されていました。
他にワークショッブに付随した上演、春のおやこ人形劇場と合わせて、計8ヵ所での上演予定でした。

コロナ感染第6波により2ヶ所がキャンセル、又は延期されましたので(これは感染防止のために、主催者側の苦渋の決断でした)、計6ヵ所での上演となりました。
この全ての上演が「どんぐりと山猫というはなし」です。

ほんとうにコロナ禍の中での上演は、とても大変です。
開催出来たところも、キャンセルを決断されたところも、延期をされたところも、コロナ禍でなければ考えなくてよいことを考えて、決断しないといけません。

どんな決断をされた方々も、様々なエネルギーをお使いになったことと思います。ほんとうにお疲れさまでした。

さて、6回連続(ほぼ1週間おき)上演によって、「どんぐりと山猫というはなし」が持つ力について、私たち自身が深く考えさせられた春の巡回公演になりました。

一つ目の発見は、「どんぐりと山猫というはなし」が「考える人形劇」であることです。

観客の方々は、観劇しながら自分を振り返り、自問自答してあるようなのです。
これは私たち自身が驚いたことです。「思考する人形劇」って可能なのです。
ほんとうに試行錯誤した甲斐がありました。
私たちは「思考する人形劇」に踏み出したのです。
まだ荒削りです。ですが確かにそこに踏み出したのです。

二つ目の発見は、次のとおりです。

それは、劇を上演するとは「事前パンフレット準備から感想の共有までを含んでの行為である」ということです。
観客の方々は、その一連の過程を楽しんであるようなのです。

劇を観る楽しみとは、上演本体だけではなく、その前後まで含めて「楽しい」ことなのですね。

劇を鑑賞するという行為について、深く考えさせられました。
こんな経験を「どんぐりと山猫というはなし」上演では積み重ねました。

私たちは、私たちがつくりあげた作品について、可能な限り、客観的な評価を下すようにしています。
思い入れがある作品であればあるほど、作品を突き放して客観的な眼でみようとします。
また、そうでなくてはなりません。

観ていただいたお客様の様々な反応に喜びを感じていますが、喜んでいるだけでは無責任になりかねません。
試行錯誤したものを喜んでくれて「めでたしめでたし」ではないのです。
それだけでは、お客様にとって失礼です。

お客様の反応から、劇を観るという行為について、深く考えを巡らしていかなくては…。
まだ至らないところをブラッシュアップしていかなくては…。

そんなこんなを踏まえて、私たちは1年間の事業を振り返り、2022年度の事業計画を練っているのです。

そんなこんなで、4月はミーティング、ミーティング。
ミーティングの連続です。
このミーティングが私たちの今後の1年間を支えます。
おざなりに出来ません。
ミーティングは、創造団体の生命線なのです。

最後に。
ミーティングを踏まえての2022年理事会と総会は、5月29日日曜日午後の予定です。
場所はえーるぴあ久留米にて。
近日中に、コアサポーター会員の皆様宛に御案内差し上げます。

コアサポーター会員の皆様、ふるって御参加いただき、御意見をいただければ幸いです。

【釜】






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