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P新人賞最終選考会について

2023.01.21 (土)

皆様、いかがお過ごしですか?
今日は、お知らせが後手になっていましたP新人賞最終選考会について、皆様に御紹介したいと思います。

P新人賞?
なにそれ?

そう思われる方も多いのではないでしょうか。
P新人賞のPとは、人形劇(パペット)のP、オブジェと身体によるパフォーマンスのPを意味します。

P新人賞は、2011年度に愛知人形劇センター様が主催して開始された
「人形劇ジャンルの明日を担う斬新な才能を発掘するため」の全国的なコンクールです。
要するに、人形劇を超えた人形劇表現を目指す表現者たちのコンクール。そう理解するのが、分かりやすいかもしれません。

今年度「P新人賞2022」では、一次選考を通過した私たち劇列車と、同じく神奈川県と愛知県からの出演者、併せて3団体(個人)が、新人賞獲得を目指して最終選考会にて上演します。
名古屋市ひまわりホールでの最終選考会です。
皆様、よかったらお越しください。

といっても、福岡から名古屋は遠い…。
名古屋市周辺にご友人やお知り合いがいらっしゃれば、よかったらお声かけいただければ助かります。

さて劇列車は、2月18日(土)19日(日)の最終選考会に向けて、いま「どんぐりと山猫というはなし」の全面改作にてんてこまい中です。
最終選考会は、劇列車に創造的刺激を与えてくれました。

じつは、このP新人賞第一次選考ではコテンパンに叩かれました。
しかし叩かれなければ、今回の「どんぐりと山猫というはなし」全面改作に取り組むことはなかったと思います。

叩かれるということは、悪いことではないのです。
むしろ望ましいことです。
表現者であれば、積極的に叩かれる場に身をさらすべきと断言出来ます。

それはどうして?

叩かれることで、表現が揉まれるからです。
そして揉まれる中でしか、表現は豊かに鋭くなっていかないからです。
叩かれることを怖れてはなりません。
これは古今東西にわたっていえる真理です。

私たちには、描き出したいものがあります。
それは社会の多くの人には見えにくい問題群。
だからこそ、「どんぐりと山猫」に取り組んで2年半、タイトルも「どんぐりと山猫というはなし」に変えながら、改作に継ぐ改作に取り組んできたのです。

揉まれることで、自らが描き出したいものがより鮮明にシャープになってくる。
そう実感しています。

(これは自画自賛?いやいや、そう思えて仕方がないのです)。

そして稽古では、ゾクッとするほどの創造的楽しさを感じるようになりました。
私たちは、そのような中から生まれ出た「どんぐりと山猫というはなし」全面改作版にて、P新人賞最終選考会に臨みます。

3月5日の石橋文化会館小ホールでのおやこ人形劇場では、このP新人賞最終選考会バージョンを上演致します。
皆様、御覧いただければ幸いです。

【釜】






演劇と教育研究委員会例会

2023.01.13 (金)

九州福岡では、暖かい冬が続いています。皆様、いかがお過ごしですか?

さて、本日は「演劇と教育研究委員会」第4回例会のお知らせです。

「演劇と教育研究委員会」とは、劇列車が設置した演劇教育のゆたかな可能性を探りあう対話のひろばです。
毎回の例会では、資料をもとにした相互対話から学びあっています。
自分で言うのもなんですが、たいへん実りゆたか研究会です。

次の第4回例会は「竹島由美子教育実践を読みとき、いまに生かす」です。
2月23日(祝)13時半~16時半。石橋文化会館会議室Bで開催します(参加費600円)。

竹島由美子教育実践とは何でしょうか?
それは、福岡県筑後地方私立N高校における彼女の長年にわたる教育実践の呼称であります。
演劇部の活動と国語の授業を通じて、社会の周縁に置かれていた高校生たちが自らの言葉を獲得していきます。
そして、高校生たちが人間としての可能性を見事に開花させていった実践として、全国から注目を浴びました。

彼女の実践は「虹を追うものたち」「野球部員、演劇の舞台に立つ」「僕のリスタートの号砲が遠くの空で鳴った」と、三冊の本にまとめられていますので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

しかし「竹島さんだから出来た」「N高だから出来た」「感動的な実践だ」と言う声ばかりが聞こえてきます。
これらの賛辞が悪いわけではありませんが、竹島さんの実践を正当に評価したものとは言えない。どうしてもそう思ってしまうのです。

実践を正当に評価するとは、その実践の内側に隠されている「普遍性」を取りだして言語化し、自らの実践を検証する指針とすることに他なりません。
今回の例会では、その隠された「普遍性」を取りだし、言語化してみたいと思います。

また実践とは、教育実践に狭く限定されるものではありません。
私たちのパペットシアターPROJECTも実践でありますし、手打ち公演もワークショップ活動も巡回公演も実践です。
食料支援もそうですし、子どもの居場所づくりもそうです。

なぜなら実践とは、「自己(自分たち)と世界との関係を変える」ことなのですから。

ですから、地域で社会課題の解決に挑むあらゆる活動は実践だと言えます。
各方面の実践者の方々に、参加を呼びかけたいと思います。

例会にて竹島さんの実践から隠された「普遍性」を取り出すことができれば、あらゆる実践者の方々にとって示唆に富むものになる確信しています。
会場の都合上、定員18名です。
お早めにお申し込み下さい。
お申し込み先は、info@dramatrain.jpまで。

【釜】






2023年の謹賀新年

2023.01.03 (火)

明けましておめでとうございます。
新年を迎え、皆様の御多幸をお祈り申し上げます。

劇列車は本日が稽古はじめ。
P新人賞最終選考会に向けてのハードスケジュール。
この時期は「どんぐりと山猫というはなし」再創造のために、ハードスケジュールでありながらも腰を落ち着けた稽古が続きます。

腰を落ち着けないと、知的な作業が出来ません。
稽古とは表現を共有していくことですが、そこには知的な試行錯誤の共有も含まれます。
稽古は台詞を覚えて動きを決めていくだけではないのです。
それでは、私たちの求める演劇(人形劇)表現は生まれないのです。
試行錯誤に苦しみ、試行錯誤を楽しむこと。
それが私たちの稽古観です。

さて、本日は御案内が中心のブログになります。

1月22日(日)、おやこ人形劇場「どんぐりと山猫というはなし」(3月5日石橋文化センター小ホール)のチケット販売開始予定です。

コアサポーター、フレンズサポーター会員の皆様には、近々御招待チケット御希望調査を実施します。
全面改作された「どんぐりと山猫というはなし」を、ぜひ御覧いただければと思います。
またおやこ人形劇場15時の回には「対話のひろば」を終演後に実施します。

劇を観るとは、楽しみの消費ではなく、楽しみから「新しい発見」を産み出す行為ではないでしょうか?
そのための仕掛けが対話のひろばです。
観客同士のおしゃべりの場、観客の皆様が対話を楽しむ場です。
サポーター会員の皆様、御参加を御検討いただければ幸いです。

次に、2月23日「演劇と教育研究委員会」第4回例会では、竹島由美子(野球部員、演劇の舞台に立つの著者)実践を語りあいます。
竹島実践は様々な場で語られてきました。
だがどうも表面的なものに止まっているようです。
竹島由美子さんの実践を「パウロ・フレイレの被抑圧者の教育学」の視点から読みといてみたい。
すると、「じつは語られなかった竹島実践の隠された貌」が見えてくるのでは…。
それを期待して、密かに楽しみにしている例会です。

第4回例会では参加される皆さんを大きく広げたい。ですから久留米で開催予定です。
詳細御案内は後日に。

それでは、2023年の劇列車は、どこまで走っていけるのでしょうか?
毎年のことですが、前途には様々な多難が待ち受けていることでしょう。

皆様、今年も劇列車をよろしくお願い申し上げます。

【釜】






2022年を振り返って

2022.12.30 (金)

いよいよ年の瀬も押しせまってきました。
劇列車では、いまだ「どんぐりと山猫というはなし」改作のために稽古が続いています。

さて、恒例の1年の振り返りをやってみたいと思います。

最初にあげたいのは、なんといってもパペットシアターPROJECTのひろがりと深まりです。
この「困難を抱える子どもへの人形劇観劇体験支援事業」は、様々な方面へ影響を広げています。

この事業展開の中で、私たちは困難な壁に阻まれた人々の息づかい、それでも前に進もうとしている希望と勇気に直接触れることが出来ました。
それは、私たちの表現創造にも深く影響を与えています。

そしてこの事業を実施していくために、上演団体=受け入れ団体=助成団体との協同が発展しました。

また何よりもパペットシアターによって、私たちは私たちのNPOミッション「どんなこどもにも劇を!文化を!」に、魂を吹き込むことが出来たのでした。

「どんなこどもにも」とは、文字通り「どんなこどもにも」です。
難しいことは何もありません。
しかしそれを愚直に実行しようとすれば、「貧困や虐待、差別によって、社会の外縁に排除されているあらゆるこどもが子どもである」という厳しい現実に直面します。
彼らに劇を届ける必要があります(その理由は後述しています。直接書いているわけではありませんが)。
私たちはパペットシアターを通じて、NPOミッションを具体的に可視化した形で展開出来るようになりました。

次に4回にわたった「親子人形劇がっこう」をみてみます。
ここで私たちは、創造的あそぴが人間の心に与えるプラスの影響を確信しました。

親子がっこうでは、手作り紙コップ人形を使って人形劇あそびを楽しむ親子の姿がありました。
どの回でもです。

あえて断言しますが、人形劇あそびでは会場の空気が温かく和むのです。いつの回でもそうです。
そこから透けてみえるのは、親子のふれあいの時間を十分にとれず、時間にあくせくと追われる私たちの日常の姿でしょうか。

あらためて親子がっこうの意義を再確認しました。
親子がっこうとは、人形劇のツールを借りた「親子の親密なふれあい回復の場」だと思います。
私たちは、それを可能とするプログラムの開発にやっと成功しました。それが2022年の成果の一つです。

止まれ。

とはいえ、親子がっこうには、私たちがパペットシアターで訪れている親子の皆さんの多くは参加されないと思います。
親子二人でワンコインで済む程度の参加費なのですが、それでも参加されない方々が多いだろうというのが実感です。

それは経済的障壁が原因ではありません。心理的障壁が厳然とあるようです。

それも無理はありません。抑圧的な社会の中で、文化芸術も抑圧の一端を担っているのですから。乱暴なくくりかたですが、縁遠い人々には「ありがたく高級感溢れた息が詰まるもの」でしかない。

しかし、本来文化芸術には自己の内面を見つめ進化させ、自己と周囲の関係を組み替える働きがあります。
文化芸術は、自己の「意識化(世界に埋没している自己から、世界を対象化し批判的に介入する自己への変化のこと)」に必須のものです。

それが抑圧的な社会の中で、人々の「意識化」を誘発するものでなく、人々を「眠らせる」ものへと転化してしまっている…。
ここから「誰のための文化芸術か?」という問いが自然と生まれるわけです。

最後になりますが、私たちのこの1年、創造分野での仕事は、上述の自問を繰り返した試行錯誤の日々でした。

大したことが出来たわけではありません。
「さちのまだみぬ物語」
という脚本を産み出し、稽古にとりかかりました。
「どんぐりと山猫というはなし」の全面改作に取り組んでいます。
はなはだ心もとない歩みですが、私たちはこれを「民衆的な人形劇の創造」と呼んでいます。

民衆。

時代錯誤的な言葉に聞こえる皆さんもいらっしゃると思います。
しかし「大衆」でも「人民」でも「庶民」という言葉でもとらえられない何かが込められた言葉です。
私たちはこの言葉の上にしっかりと立ちたい。
この言葉に立たないと見えてこないものから、創造の仕事を進めたい。
年の瀬に大きなことを言いましたが、これが私たちの創造ベクトルの方向であります。

どうか私たちのつくりだす作品を手厳しく御批評下さい。
人も団体も大きなことを思い描き、手厳しく叩かれることでしか成長しないのですから。

言い尽くせないことも多いのですが、長文になりすぎます。
これをもって1年の振り返りとさせていただきます。

それでは今年も残すところ2日。
皆様、よいお年をお迎えください。

【釜】






今年最後の久留米市内K小学校公演

2022.12.22 (木)

昨日は、久留米市の耳納北麓K小学校にて今年最後の巡回公演でした。
作品は「どんぐりと山猫というはなし」です。

早朝7時から体育館にて舞台仕込み。
11時から公演。資材搬出時には雨にたたられましたが、とてもよい公演でした。

一時の寒波はやや緩んだとはいえ、寒さが厳しい体育館です。子どもたちが集中して観てくれるかな?という心配はありました。
ところが、どうしてどうして。体育館は子どもたちの期待でパンパンに膨れ上がり、演じ手と子どもたちの間に、くっきりと呼応関係が生まれていたのでした。

受け入れのお世話をいただいた先生方、ありがとうございました。
私たちも、子どもたちによい鑑賞体験を保障できたことに、ホッと一安心しております。
演劇(人形劇)という表現が、人と人の「間にあるアート(芸術)」であることを、改めて実感した巡回公演でした。

さて2022年最後の公演を終えて、2022年の劇列車事業の結果は以下の通りとなります。

■計15回の公演(うち「どんぐりと山猫というはなし」13回、「ちょうふく山のやまんば」2回)。
■計4回のワークショップ(「親子であそぶ人形劇がっこう」4回)。
■演劇と教育研究委員会開催3回。
■ボランティア研修会開催2回。

計24回(月平均2回)の様々な事業を開催しました。

振り返ると、毎年のことですが「駆け抜けた2022年」というのが、素直な実感です。
その過程でたくさんの素敵な方々と出会いました。

何が素敵なのか。
「日本人や日本社会の劣化」という言葉が、様々な場で囁かれるようになっています。
しかし全体が劣化するに従って、輝きを増す人々がいます。
様々な現場において、崩壊していく社会を新しく再生する実践に骨身を削る人々。
そんな彼らが素敵なのだと思います。
私たちの未来は、このような人々の中から生まれてくるのではないでしょうか。

かつては未知だったたくさんの方々。
そんな方々と出会えたことは、私たちにとって幸せなことでした。

このあたりのことは、近々恒例の「1年の振り返り」で述べてみたいと思います。

とりあえず2022年全事業を終えたところで、各事業にてボランティアとして関わっていただいた皆様、様々に事業を支えていただいた皆様、私たちに刺激的な学びの機会をご提供いただいた皆様に、厚く御礼申し上げます。

【釜】






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