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第22回定期公演を終えて

2021.07.19 (月)

第22回定期公演「どんぐりと山猫」、無事に初演を終えました。
観ていただいた御客様、ありがとうございました。

お手伝いいただいたポランティアの皆様、ありがとうございました。とても助かりました。舞台公演は、表方の皆様の支えがなくては成り立ちません。厚くお礼申し上げます。

また13時の回に訪れた皆様、ドアを開け放し過ぎて、暑い思いをさせました。また、横から漏れるドアの光りと、暑さで大変な御観劇だったと思います。改めてお礼申し上げます。

さらに、13時の回に当日チケットをお求めに来られた方、コロナウィルス感染防止を求められている中で、満席のために当日チケット販売を停止しておりました。この場を借りて御詫び申し上げます。

さて、たびたびブログに書いてきましたように、「どんぐりと山猫」は†主題を鮮明にすること† モノを蘇生さする魅力の追求の、二つをねらった作品です。

モノを蘇生させる表現には、結構苦闘し、その苦闘それ自体を楽しんできたつもりです。
御客様にも面白がっていただけたのでは、と思っております。
少なくとも、現段階での私たちの表現の精一杯を出した作品でした。

アンケートにありました「不思議な世界だった」という複数の文章は、モノを蘇生させることと、「どんぐりと山猫」の世界が親和性が高いということの現れなのでしょうか?一つの仮説として、忘れないうちに書いておきます。

(一方で「モノの蘇生追求に弱い部分もありました。
例えば、馬車別当は顔の造形のみに私たちの関心が集中してしまったこと。
考えてみると、馬車別当は顔と布のみによる人形表現にチャレンジしたものです。
とするならば、布と空気が織り成す不思議でフワフワした妖しげな表現も、人形の表現として軽視できないのではないでしょうか。御客様の前で初演してみて、はじめて気がついたことですが、馬車別当の人形造形にはまだまだ工夫が必要だと思います。
また、切り株という装置が長い布の動きを邪魔になり、お互いに相殺しあってしまうといった欠点も生まれたようです。)

また主題の追求においては、主題が鮮明になればなるほど、「難しい」と感じられた方々もいらっしゃいました。

一方で終演後、娘に「おかあさん、一郎くんはどうすればよかったの?」と聞かれたからと、わざわざ私たちに声をかけてくださったお母様もおりました。
また、観劇中に「一郎くんの言ってること、違うよ」と、子どもの呟きがあがっていたり、「そうかな。そうじゃないよ」などの声があがったりしていたとのことです。
子どもたちが劇に魅入りながらも、生き生きと考えている様子が見られました。
これは、観劇をつうじて子どもたちが哲学的思考をしていることだと思います。
哲学は、日常を支配する価値観に対して疑問を持つことからはじまります。
いいかえれば、疑問を持たなければ、哲学ははじまらないのです。
その意味で、哲学は大人が独占する学問ではなく、むしろ子どもの方が哲学に親和性が高いのかもしれません。
五歳の未就学児であっても、哲学的な感受性と思考は可能であるという話しも聞きます。

さて、観劇中の子どもの様々な呟きを教えていただいたことで、観劇体験における子どもの思考のありようが、私たちにも見えてきました。教えていただいた方々、ありがとうございました。

私たちは、この人形劇で「考える」劇を創りたいと考えてきました。
人形劇の面白さを存分に織り込みながらも、「面白さ→感動」ではなく、「面白さ→思考」を優先してきたたつもりです。
そのために、意図的に主人公に同化出来ないようにし、観劇者の思考を誘発しやすい人物造形をしてきました。
その結果、「どんぐりと山猫」が子どもたちに活発な思考を誘発させていたとするならば、これはとても嬉しいことです。

(蛇足ながら、私は「感動をもらう」とか「感動を与える」とかの言葉が嫌いです。そもそも感動とは「もらったり与えたり」出来るものなのでしょうか?感動の土台は、自らが感じる、自らが考えるという主体的行為の中にしかないはずです。「もらう」だの「あたえる」だの、安易な感動で人間が変わるなどあり得ないことです。)

さて、「どんぐりと山猫」は、脚本を劇作家養成講座8月例会に提出予定です。
初演作品を、P新人賞選考会に応募予定です。
これは、自分たちの創造を外部評価にさらすことで、違った観点から作品に光があたることを求めたいと思うからです。
手酷く叩かれると思います。
しかし、それを怖れていては私たちの創造上の前進は止まります。

ブラッシュアップした「どんぐりと山猫」は、次回の手打ち公演、3月6日日曜日に予定しております。
場所は久留米シティプラザCボックス。「春のおやこ人形劇場」(芸術文化振興基金助成)で、御観劇できます。

今回、観劇お申し込みいただいた多くの方々に、定員に達したためお断りの返信をせざるを得ませんでした。
もしよろしければ、「春のおやこ人形劇場」での御観劇を、御検討いただければ幸いです。
【釜】






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